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他方、近年都市交通において交通需要マネジメントの必要性が認識されつつあり、道路交通との適切な分担を図るために、鉄道を中心とした公共交通機関の役割が増大してきている。
このため、長期的には新線整備などによるネットワークの充実を図るとともに、駅施設や車両の改善など快適性の向上を図っていくことが必要である。

 

(提言)

通勤混雑の解消に向けた時差通勤や並行代替路線への分散などはすべて通勤者の個人の判断に依存している。したがって、通勤者の需要を分散させていくためには、時差通勤や並行代替路線への分散についてのメリットを認識させていくことが必要である。
大阪圏においては、首都圏と比べて混雑に遭遇する区間も短く、混雑の程度も大きくないことから、通勤混雑回避に対する切迫感は少なく、通勤混雑の解消に向けては、息の長い取り組みによって通勤者の理解を求めていくとともに、供給側においてもこれを促進するために地下鉄等のネットワークを活用した通勤ルートの分散誘導なども含めた多様なサービスメニューを用意することや、具体的な情報提供などを積極的に行っていくことが求められる。
さらに根本的な解決のためには、フレックスタイム制を中心とした「新しい勤務制度」の普及・活用を関係機関との協力のもとに推進していくことが求められる。

 

?時差通勤の推進
通勤時間を早めることは、通勤者が実施しようとすれば、誰でもすぐにできる方法であるとともに、コストをかけずにすぐに効果が期待できる方法でもある。さらに、企業の協力が得られれば時差通勤の幅は広くなる。
このため、今回の実験成果を生かして、「快適通勤月間」を設定し、関係機関の協力のもとに放送、ポスター掲示、パンフレット配備などあらゆるメディアを活用したキャンペーンを実施するなど、通勤者に協力を強く呼びかけていくことが必要である。また、こうした活動は混雑感が高くなる冬期に限らず、不快感が増大する夏期においても実施していくことが効果的である。
また、沿線企業への個別訪問による協力要請や情報提供によって企業や団体に対する広報を積極的に行うとともに、主要ターミナルにおいて情報コーナーを設け、パネルなどによって混雑の状況や時差通勤のメリットなどについて具体的で説得力のある情報提供を行うことが必要である。

 

 

 

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